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先月のことだった。引越しのため2年近くお世話になったその精神科医と会うのもこれが最後となった。ビル開業している小さなクリニックで、カウンセリングといってもお互いの仕事内容とかそういう世間話を5分ぐらいして、あとはごく少量の薬を処方してくれ…
小林先生64歳、益川先生68歳、南部先生87歳…。ここは説教めいた格言っぽい言葉で始めたのだが、昨年の後半からだらだらと弱音を吐く場所と化してしまった。この変化は、40代半ばを過ぎて突然私の中に生じた内的な変化と呼応している。少し前に須原一秀の「自…
NHKのプロジェクトXの後釜的番組に茂木ナントカさんがやっている「プロフェッショナル」という番組がある。なんかの名人とか、それこそ医者だったら神の手とかそういう感じの人が出てきて、最後にプロフェッショナルとは何ですかという質問に答える。24時間…
論考2-0123 対象を捉えるために、たしかに私はその外的な性質を捉える必要はない。しかし、その内的な性質のすべてを捉えなければならない。 私と貴方の違いを考えてみよう。私は内向的で貴方は外向的だ。私は飽きっぽいが貴方は根気強い。だが、これらの性…
ブログをやっている意味が分からなくなったので閉鎖します。 いや、うそですよ。 人は何かをやり続けていると、いつかその意味や価値に疑いを持ち、立ち止まってしまう。 だが、それをやり始めた頃の自分、それが面白くてたまらなかった頃の自分を思い出して…
カントは人間の理性で認識・理解できるものには限界があるとした。私たちがある「もの」を見たとき、それは私が認識した「もの」にしか過ぎず、あるがままの「もの自体」のすべてを捉えることは文字通り神業だと言った。 ニーチェはカントを批判した。「もの…
相談者(クライエント)の前にをりつつその姿見えぬが極致カウンセラー 伊藤一彦 カウンセラーゆえの極致なのだろうか。私もかくありたいと思う。私も人間を相手にする職業だが、しかし、私の職業において、それはひとつのスタイルにはなり得るとは思うが、…
亀山郁夫先生がロシアの芸術を語るときによく「二枚舌」という言葉を使う。権力に媚びているように見せかけながら、けっして権力には屈服しない芸術をいう。 ここ何年か宮沢賢治の「自己犠牲」について考えてきた。自分の命を捨てることで妹が幸せになるのな…
世の中で一番楽しく立派なことは一生涯を貫く仕事を持つことです 人生これ一筋の職人のような生き方にも憧れはあるけれど、いろいろ回り道をしたなあと振り返る人生もまたいいものであろうし、私は今でももっと違った仕事をしてみたいという思いはある。 世…
死刑の存在意義は犯罪抑止力か? 大局的には日本の殺人事件は減っている。 厳罰化⇒死刑の流れを扇状的な事件描写とともに報道するマスコミによって 凶悪犯罪はさらに抑止されるのだろうか。 死刑になりたいから人を殺すという人が見受けられるが、 彼らはど…
そのとき順子は、焚き火の炎を見ていて、そこに何かをふと感じることになった。何か深いものだった。気持ちのかたまりとでも言えばいいのだろうか、観念と呼ぶにはあまりに生々しく、現実的な重みを持ったものだった。それは彼女の体のなかをゆっくりと駆け…
詩人の松本圭二さんが、本人曰く「やけっぱちの」青春小説を書いた。 http://www.tibikuro65.jp/2008/03/post_26.html ご自身の若い頃は、ただ時間をだらだらと無駄に潰すだけのとても青春とは呼べない代物だったので、だからこの青春小説は嘘っぱちなんだそ…
少し古めの話題になるが、少年がホームから人を突き飛ばして死なせた事件で、被害者の父親のコメントが心に響いた。「将来社会に役立つことで罪を償ってほしい」と、そのような内容だったと記憶している。「本当ははらわたが煮えくりかえる思いですよ」と付…
以前、こんなことを書いた。 どうしようもなくつらいとき、自分は本当につらいのだろうか、つらい自分を演じているのではないだろうかと、一度自分を疑ってみるとよい。 少し楽になっただろ。 id:sueme:20070925:p5より 「夜と霧」は、学生時代に霜山訳で読…
おかしな話だが、前回私が書いた だが私のいう「自然」は自然死の自然とは違うような気がする。それはもっと運命的、というか他律的なもののような気がする。 という部分を自分で書きながら、そして自分で読みながら、まさに自分が死ぬその瞬間を思い浮かべ…
須原一秀の「自死という行き方」を手にするかどうか決心がつかない。須原氏は現代では自然死はありえないと言い、自らの命を絶った。 私は以前、自然な死を望むと書いた。だが私のいう「自然」は自然死の自然とは違うような気がする。それはもっと運命的、と…
前回の一本の葱の話(id:sueme:20080224:p10)は、もちろんグルーシェニカのセリフからとった。元はロシアの民話でドストエフスキーは農婦から聞いたそうである。「カラマーゾフの兄弟」では、一本の葱しか与えていないと自分を責めるグルーシェニカを、一本…
どうして人に親切にするのかと聞かれ、親切にすると自分が気持ちいいとか、ありがとうと言われると嬉しいなどと答えるようではまだまだだ。それでは葱を一本だけ与えたに過ぎない。 あなたが地獄の炎の湖に落ちたとき、天使はその一本の葱を持って差し出して…
どうぞ、私を蔑んでください。 私はもうあなたのお役に立てません。 どうぞ、私をもうお払い箱にしてください。 私はそれであなたを恨んだりしません。 私はやっと分かったのです。 私はもう、悩みながら不本意なことをしたり、無理に作り笑いを浮かべたりは…
怒りという感情は扱いが難しいものだ。 たとえば、お前のためを思っているからこそ怒る、という言い方がある。 お前のためを思っているのが本当だとしても、怒りという感情の契機は果たしてそのことだけで説明できるだろうか。 本当は単に「お前が自分の思い…
人間にとって「死」とは自然なものであってほしい。 何かのために誰かのために自ら望んで死んだり、 あるいは誰かの何らかの目的のために殺されたりするのは自然ではない。 「死」には理由も目的もあってほしくない。 ところで、「死」は「生」と表裏一体で…
最近、私はある物を無くしてしまった。 それは今までつけていた仮面と今まで着ていた制服だ。 しかし私が今自分の素顔を晒して素っ裸になってしまっていることに気づいているのは私だけであり、立派な仮面を被りきちんとした制服を着た皆は、私が自分と同じ…
障害者の番組を見ていた。 骨や関節の成長が障害される難病の小学2年生男子が主人公だった。 司会の日本語を話す外人が「何か困ることはないか?」と聞いた。 小学生はしばらく考え続けたが、無言のままだった。4本の手を自由自在に操る高度な技術を持った…
生きているということいま生きているということそれは私なんか生きている価値がないと考えることいっそ消えてしまいたいと思うこと生きるって何だろうと思い悩むことあの人のぬくもりを思い出すこと 評判が良かった、「生きる」である。 私は「あの人のぬく…
動物の本質は本能的に生きるという衝動である 彼らには死という概念がない だから飽くなき執念で生き続けようとする ところが人間は自分がいつか死ぬということを知ってしまった 生きるということは欲求を満たすということだ そして人間はさらなる要求や実現…
自分の意見というものが存在するのだとすれば 人は生まれた瞬間に意見を言うはずだ 俺が何をどう言おうとそれは俺の意見じゃない 俺が誰かからもらった意見だ お願いだから 俺に何か意見を言わせるような刺激を与えないでくれ 俺は何も言いたくないし書きた…
無から考え始めるのは正しいだろう。 西洋思想の方法論も正しいだろう。 だが、 エクリチュールの囚人とか難しいことは私にはよく分からないが、 自分が日本人であり、日本文化の中で育ってきたことからは抜け出せない。 私は神戸地震を海外から見た。 あの…
温暖化を何とかしたいだろ! 二酸化炭素排出削減のために省エネなんだろ! 元電源切ろとか、暖房は20℃冷房は28℃設定とか細かいこといろいろ言ってんだろ! (照明はあんまり関係ないとか言いながら)白熱電球は消費電力がでかいから製造中止なんだろ!だった…
同じ神を崇めながら、どうしていろいろな宗教があり、 同じ宗教なのに、どうしていろいろな宗派があるのか。 それは、神を自分の都合のよいように解釈したいからに過ぎない。今、貧しい者、迫害される者、圧政に苦しむ者は、 「これも神が決めたことだ」とい…
まだまだ多くの国では公正な選挙もままならない。 権力によるあからさまな妨害や誘導が蔓延っている。 それに比べて、我が日本では実に見事に公正な選挙が行われている。 果たしてそうだろうか。 僕らは知らず知らずのうちに誘導されていないだろうか。 もっ…