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恐怖の食卓

http://www.e-club.jp/ikenhuji.htm
車買って1年が経った。V6の3.6Lってやっぱすごいわ、なんて自慢し続けてきたが、はっきり言って何のこっちゃ分かっていないことに気づく。600ccのシリンダーが6本ってことなんだろうか。排気量が大きいってことはそれだけ大きな力でエンジンを回転させるのだと単純に解釈していいのだろうか。要するにそういうことなんだろうけど、完全に構造を理解しているわけではない。
医師の方ならカルシウムチャネル拮抗薬といえば、血管平滑筋のカルシウムチャネルが阻害されるので細胞内カルシウム濃度が低下して血管が弛緩すると、だから血圧が下がると、まあこの程度ぐらいは理解していることと思う。で、この程度の理解で処方している医師だってたくさんいるわけだ。ところがだ、カルシウムチャネルの阻害って何だか知ってるか。カルシウムチャネルが開いたり閉じたりっていう言い方もある。本当にパタパタと開閉していると思うか。だいたい細胞1個に何個そのカルシウムチャネルがあるか知ってるか。チャネルが開くっていうのはその全てのチャネルのいくつが開いたらチャネルが開いたっていうのさ。チャネルの活性化、不活性化、脱活性化って知ってるか。おそらく普通のレベルの臨床医は正確に説明できないだろう。俺はたまたまイオンチャネル専門の研究室に数年いたおかげで、その辺の知識はまあまあある。でも、そんなこと知らなくても臨床医はやっていけるし、知っているからといって診療に役立つわけではない。知らなくたって、テレビのバラエテイ番組程度なら、医学博士の肩書きで「カルシウムチャネルが閉じて」程度のレベルで話せば専門家として充分通用するのである。
しかし、その程度のレベルでテレビに出て、自分が専門家だと勘違いして好き勝手にしゃべると、本当の専門家に迷惑がかかることがままある。たとえば生き方上手な日野原先生なんか、まあ高齢化社会に向けてのシンボル的な存在としてご活躍されるのはいいのだが、「麻酔なんてのはアメリカでは看護師がやってる仕事だ」なんて完全に間違ったことを自信を持って発言されるので、日本の麻酔科医は迷惑しているのである。先日はテレビ番組で、日野原先生自身の健康法として「うつぶせ寝」が紹介されていたが、このときに「だいたいアメリカではね、子どもはみんなうつぶせで寝かせるの」みたいな発言をしていた。俺もその辺は専門外なので、確かなことはいえないけれど、子どもの「うつぶせ寝」って突然死症候群の一因だとか何とかで否定されたんじゃなかったっけ。あーあ、いいのかな日野原先生、って思いながら苦笑いで見ていた。
で、この恐怖の食卓だけど、どう考えてもADHDのことをADと書く程度のレベルの知識のエセ「専門家」を出しちゃったのが失敗の元なんだろうな。
馬場武彦 - Google 検索
だいたい病院経営とかが専門っぽいもんね。ADHD患者なんか見たことないんじゃないだろうか。フジテレビの回答にも、食とADHDの根拠として、なんだかよく分からない和書をあげているところが笑える。テレビ局の「医学」、っていうか「科学」に対する認識って、やっぱりこんなものなのだろう。
極端にいえば、医学の世界で「教科書」なんて間違いだらけなんだよ。教科書だけを参考に診療している臨床医なんてのはほとんどいないだろう。少なくとも、直接じゃなくとも、今の時点で何が最善なのか、どこまでがEBMなのか、それを日々調べながら悪戦苦闘しているのが本当の臨床医だ。臨床医はテレビに出ていい加減なこと言っちゃいかん。出るなら「今日の健康」ぐらいにしときなさい。ただし本気で準備してな。
あ、誰に言ってるのか書くの忘れた。浜六郎っていう先生です。仮説は証明されなければいつまでも仮説です。