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Don't Feed Wild Animals !

雪の公園


市内の大きな公園だが、昨晩ずいぶん雪が降ったので、その主要な通りも通行人が踏み固めた一人分の細い道になっていた。私は鳥見が目的なので少々雪が深いところに踏み入れることも想定してスノーパンツにウインターブーツといういでたちだ。
近頃公園というとランニングに来る人が多い。公園は走るところと考えている人もいるらしい。ランナーは軽装だ。私が鳥を探しながらとぼとぼと細い道を歩いていると、背後からランナーの足音と息づかいが近づいてきた。ランナーは私の背後でスピードを緩める。スピードは緩めるがそのリズムを落とすことはない。私の背後でこれみよがしに足踏みをしている。しかたがないので私はウインターブーツを脇の深い雪に突っ込んで真ん中から端によける。ランナーは当然のような顔をして道の真中の細く踏み固められたところをランニングシューズで走り抜けていく。
前方から若い男性が来た。初詣に向かう途中らしく、都会的な装いをしている。細い道の真ん中で向かい合ったが、どう考えても私の方が雪の深いところに入るのにはふさわしい。私は道を譲った。男は無言で通り過ぎた。
それから何人かのおしゃれな人とすれ違い、何人かのランナーに追いぬかれた。いつも私が深雪に足を突っ込んで道を譲った。みんな無言だった。私も無言だった。
最後にすれ違った老婆だけが、本当にすいませんと言った。私はそんなことを言われる筋合いはないと思った。なにせ私はスノーパンツにウインターブーツなのだ。誰がどう考えても私が道を譲るのが当然なのだ。いや、私は最初から深雪のところばかりを歩いて道を広げるべきでさえあったのだ。深く反省すべきはこの世で私だけなのだ。
―いや、やはり私はランナーは敵にしようと思う。最近皇居を周回するランナーが揶揄されているというではないか。ランナー専用道路だと思い込んでいる人までいるらしい。怒鳴られたという老人がテレビに出ていた。
皇居は有名なランナーも走っている。それに釣られてどんどんランナーが集まってくる。それを見たひとが自分もランニングをやってみようと思う。そして皇居周辺を走る。圧倒的多数になるとそれが常識になる。常識という自覚のない侵略。
以前、私はこのブログで毎回釣り人を敵と称した。それとおなじ感覚で、これからはランナーを敵としよう。特に皇居ランナーは敵とする。だから村上春樹も敵ということになる。というか、元々私に味方などいない。