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琴田宮

デーモン閣下 NHK中継で琴光喜復帰熱望/相撲/デイリースポーツonline

デーモン閣下が取り出した幕内上位の夢番付は、東前頭筆頭が空白になっていた。手元のカードにマジックを走らせると、隣に座る音羽山親方(元大関貴ノ浪)が苦笑いした。閣下はカードを番付にはりつけ、「琴田宮!誰それ!」と自分に突っ込みを入れた。公共放送の相撲生中継で、解雇された人物の復帰を求める意見が放送された前代未聞の瞬間だった。琴田宮の名を入れることを聞かされたNHKは当初「それは用意できません」と反対したという。閣下が「じゃあ、デーモンを出す意味がない!!」と突っぱね、閣下が放送中に琴田宮と書き入れる形でまとまった。あくまで「夢番付で私見」と前置きした上で、閣下は「琴光喜には反省した上で、夏か秋に十両の下あたりから復帰してもらいたい。どうやって立ち直るのかを見てみたい。そういう思いもあった」と復帰を切望。「賛否両論があることも分かっている」と覚悟した上での“番付編成”だったことも明かした。司会のアナウンサーは「次に行きましょう」と、さっさと進行するしかなかった。名誉横綱として魁皇を挙げるなど、奇抜なアイデアを披露した閣下。外部委員などの形で協会再生への協力に「参加して意味のあるものだったら」と前向きだったが、「まあ、悪魔なので。フハハハハ」と、高笑いで締めくくった。

僕は所用でこの場面を見ることはできなかったのだけれど、家に帰ってくるとカミサンが「デーモンはもうNHKに呼ばれないかもしれない!」と大騒ぎであった。僕はデーモンと同世代で、大相撲に関してはかなり共通する見方をしていると思っていた。僕は朝青龍の擁護派だったから、朝青龍問題のときもわりと沈黙を守っていたデーモンに好感を抱いていた。しかしその後、デーモンは栃錦から直々に手紙をもらったことがあり、横綱の品格というものに対して確固たる信念を持っていることをまざまざと見せつけられ、僕とデーモンは全然違っていたことを思い知らされた。それは裏切られたという失望などではなく、僕など足元にも及ばないという敗北感であった。
毎回破格の待遇をしてくれるNHKに対して、それじゃあ俺の出る意味がないとタブーを恐れず我が道を行くデーモンは男気に溢れている。とても現実的とは思えないが、僕は琴田宮の復活を支持する。今の僕には細かい倫理的な話はどうでもいい。僕の肩を重くしているのは、なんだか正体の分からない、もっともやもやとした、僕らを支配している何かである。