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コクマルガラス、睨みでライバルを威嚇

コクマルガラス、睨みでライバルを威嚇
http://mainichi.jp/feature/nationalgeo/archive/2014/02/07/ngeo20140207003.html
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黒っぽい羽を持つ中型のカラスの一種、ニシコクマルガラス学名:Corvus monedula)は、同種のライバルたちを鋭い視線で睨みつけて追い払うという新しい研究結果が発表された。デビッドソン氏が調査対象に選んだのはコクマルガラスだった。なぜなら、コクマルガラスの眼は黒い瞳孔が大きな白色の虹彩に囲まれており、黒い羽眼に覆われた体のなかでくっきりと際立って見えるからだ。

見出しや記事中では「コクマルガラス」と表記されていますが、正しくは記事の冒頭に出てくるように「ニシコクマルガラス」の話です。できれば記事中では略さずに、すべて「ニシコクマルガラス」と表記して欲しかったと思います。なぜなら、ニシコクマルガラスコクマルガラスは別の鳥だからです。

これは、たぶん、ですね、つまり「ニシコクマルガラス」を「コクマルガラス」と略したのはですね、元のナショナルジオグラフィックの英語の記事に由来しているんだと思います。なぜかというと、英語だとニシコクマルガラスがJackdaw、一方コクマルガラスはDaurian Jackdawというんですね。分かりますか? すなわち、英語だとニシコクマルガラスが単にコクマルガラスコクマルガラスはアジアコクマルガラス、みたいな感じなんです(Daurianをアジアと訳せばですが)。だからたぶん、原文中でJackdawと表記されているところは単純にコクマルガラスって訳しちゃったんでしょう。

しかし我々は日本人です。日本語では堂々と、そして正しく和名を使うべきなんです。「ニシコクマルガラス」は「ニシコクマルガラス」であって、「コクマルガラス」ではないんです。

なんでそこまで「ニシコクマルガラス」と「コクマルガラス」の違いにこだわるのかって? だって、この研究では、黒い瞳孔を取り囲んでいる大きな白色の虹彩が重要ポイントなわけでしょう? だから「ニシコクマルガラス」が研究対象となった。ところが、「コクマルガラス」にはこの白色の虹彩が無いんですよ、奥さん!

ちなみに、村上春樹の「海辺のカフカ」で、カフカチェコ語でカラス、とされていますが、これはみなさんがよくご存知のハシブトガラスでもハシボソガラスでもございません。また、多くの文芸解説書などでは知ったかぶりした評論家がカラスはカラスでもコクマルガラスである、とかって気取って書いてますが、それも間違いです。チェコ語カフカとは、「ニシコクマルガラス」のことです。

これ読んでくれ!→カフカとはチェコ語でカラスのこと、というのは本当なんだろうか? | スミルノフ教授公式ウェッブログ

もう間違わないでください、みなさん。けっして「ニシ」を略さないようにお願い申し上げます。