通勤途中で立ち寄った公演の池のオシドリ。何年かはブランクがあったのだけれど、ここ何年かは毎年のように飛来し、カップルを作って営巣、ヒナも巣立っている。
で、トリミングなしでもこれだけ十分大きく撮れるのである。
つまり、それだけ近づけることができるのである。
てゆーか、あいつらの方から近寄ってくるのである。
てゆーことは、早くも餌付けされてるのである。
この池には(たぶん)Nさんが作った「野鳥にエサをやらないで」の看板がいくつも立っている。
おそらくその効果はあった。けれども、当然のことだが餌付けする人を皆無にすることはできない。餌付けする人が一人でもいれば、やつらは餌付けされてしまうのである。
残念なのは、ひょっとしたらそういう餌付け人のおかげで、毎年ここで営巣してくれるようになったのではないか、という思いが、餌付け断固反対原理主義の、僕の心をよぎることだ。
「パンもってくればよかったなー」と、自転車のジイさんが僕に微笑む。僕は作り笑いを返してその場を立ち去る。
池から少し離れた遊歩道から、カンカンと何かを叩く音がする。近づいてみると、リュックを背負った女性が、切り株の上で金槌でクルミを砕いていた。待ってましたとばかりに、おなじみのエゾリスたちが彼女を取り囲む。クルミを砕き終わった彼女は、寄ってくるエゾリスたちを眺めながら、満足そうにタバコを吸う。
僕が餌付けを嫌うのに、もはや理由はない。いつから、どうしてこんなに腹が立つようになったのか、自分でも不思議でならない。エゾリスに責任はないのに、エゾリスを嫌いになりかかっている自分を発見する。餌付けは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでください、とエゾリスが言ったような気がした。ほんとにそう言ったら、ほんとに嫌いになるだろうな。