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スターレス髙嶋に触発されてレヴェル42を聴き直す

9月21日から全5回にわたって放送された、スターレス髙嶋こと髙嶋政宏さんのNHK FM「マイ・フェイバリット・アルバム」を、感慨深く聴かせていただきました。

髙嶋さんはプログレマニアらしい、ということは以前から承知していたのですが、プログレ→インダストリアルときて、第4夜が『レヴェル42』だったことに意外な印象を抱きました。

なぜここへきてポップ・フュージョンなのか? いや、選ばれたアルバムが初期音源である「ジ・アーリー・テープス」なので、ジャズ・ファンクという捉え方なのか? 不思議な気持ちで聴き始めたのですが、なんと髙嶋さん自身がベーシストだったということを知り、いきなり腑に落ちました。

世代的に、この時代にベースをやっていたのなら、超絶技巧ベーシスト、マーク・キングの登場に衝撃を受けられたことも十分に理解できます。ライブにも熱心に通われ、マーク・キングの指先ばかりを観察していたとの話に感銘を受けました。さながら、アラン・ホールズワースのライブに双眼鏡片手で駆けつけて、ひたすら運指を観察するギター少年みたいですね。

レヴェル42は初期には明らかにジャズ・フュージョンだったのですが、徐々にマーク・キングのボーカルをフィーチャーしたポップ路線寄りとなり、特に1985年以降はMTVのPVにも力を入れて大ヒットを飛ばすようになります。このため、「笑う洋楽展」でみうらじゅん氏が「レヴェル42みたいな音楽もあったな」と、ちょっとその軽薄さを揶揄するようなニュアンスで言ったように、80年代ポップスの一角としてとらえる向きもあります。

しかし、後年の、たとえば「Lessons in Love」のような大ヒット曲を演奏するライブ映像を今見ても、「よくこんな難しいベースラインを弾きながら歌えるな」という感想しか出てきません↓

どうですか~みなさん~。マーク・キングの右手にばかり目が行っちゃいますよね。しかも、髙嶋さんも言ってましたが、スタジオ音源よりもテンポが速い。一聴すると80年代ポップスかもしれないが、それでも超絶技巧ベースは変わらず健在なのです。

さて、「マイ・フェイバリット・アルバム」では、「ジ・アーリー・テープス」から最後に「88」という曲がかかり、先生はよりいっそう感慨を深くしました。

当時の若かりし頃の先生は、アマチュア・フュージョン・バンドをやっていたのですが、ラジオから流れてきたこの「88」のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライブ音源を聴いて、度肝を抜かれたのです。

どうですか~みなさん~。今聴くと、これもスタジオ音源よりずっとテンポが速くて、スリリングな演奏ですよね。これはぜひ自分でも演奏してみたい、ということで、耳だけを頼りにコピーして練習しまくりましたよ。

この曲は基本インストゥルメンタルですが、サビでコーラスだけが入ります。ところが、当時はスタジオアルバムを持っていなかったので、このコーラスの歌詞がまったくわからない。実は曲名さえ知らない状態でした。

彼らは一応ジャズバンドなのだから、「Days of Birdland」と繰り返しているのではないか?

メンバーのひとりがそう言ったのが、なぜか説得力があり、みんなでそのように歌いました。お恥ずかしい話です。

さて、いまやなんでもネットで調べることができる時代になりましたので、さっそく歌詞を検索してみよう。出てくるかなー、あ、Spotifyで出てきたぞ!

Deee-o deee-abara. Deee-o deee-abara. Deee-o deee-abarara. Deee---ao. (Interlude). Deee-o deee-abara. Deee-o deee-abara. Deee-o deee-abarara

がーん、意味のない言葉、すなわちスキャットだったのですね。ダバダバダーみたいな……。

当時はマーク・キングの映像を見ることも至難の業でした。ある日、北海道の地方都市のロックパブみたいなところで、ロック研究会の伊達くんという後輩と飲んでいるときのことでした。

このパブでは若者がカラオケを歌うことが多いのですが、誰もカラオケを歌っていないときには、スクリーンにミュージックビデオが流れます。

そこで、「いやあ、最近レヴェル42のマーク・キングっていうすごいベーシストが出てきてね」みたいな会話をしていると、そのマーク・キングがスクリーンに大写しになったのです。

「あー、伊達くん、これこれ、これがマーク・キング! すごいからちょっと見てて」

と先生が言った瞬間、誰かがカラオケをリクエストしやがった。店員は「はーい」と言って、さっそくそのカラオケをセットしようとしている。

伊達くんは先生みたいな引っ込み思案の田舎者とは違って、ばりばりの東京出身のアーティストっていう感じだったので、すかさず動いた。

「ねえねえ、君知ってる? 今マーク・キングっていうすごいベーシストが写ってるんだ。で、そのカラオケ、これが終わってからにしてくれない?」

さすが東京人! バリっとセットした髪にピチピチの革パンツ、この辺の田舎者とは明らかに雰囲気の違う伊達くんが、キザに決めてくれたぜ。これはビビって店員も言うことを聞くに違いない。

そう先生は思ったのだが、店員はガン無視して、リクエストされたカラオケを流し始めた。結局、動くマーク・キングをこの目で見たのは一瞬だった。

以上が、先生の若かりし頃のレヴェル42にまつわる思い出でした。