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Don't Feed Wild Animals !

ヨツボシヒラタシデムシの逆襲

どうもこんにちは。当サイトはシデムシブログです。なんせシデムシカテゴリーが独立してあるぐらいですからね。とはいうものの、今まで登場したのはヒラタシデムシ、オオヒラタシデムシとその幼虫たち、それからヨツボシヒラタシデムシぐらいですけどね。シデムシブログを名乗るぐらいなら、ツノグロモンシデムシとかオオモモブトシデムシとかがんがん出したいところですが、残念ながらそんなの見たこともありません。

ま、そこはちょっと許してもらうとして、先日は久しぶりにシデムシ界のスター、ヨツボシヒラタシデムシに出会ったので報告します。

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「どうもー。ヨツボシヒラタシデムシでーす。シデムシっちゅうネーミングはね、全身真っ黒で死体ばっか食ってるヒラタシデムシとかオオヒラタシデムシとかのせいで、死体があると出てくる死出虫って名付けられちゃったわけで、なんか汚くて暗いイメージがつきまとって、ほんと迷惑してますわ。そこへいくと私はこんなカラフルな黄茶色に、センスの良い四つの紋模様背負ってますし、あいつらみたいに夜中にこそこそ死体食うなんて、そんな辛気くさいことはしませんわ、昼間っから葉の上走り回って毛虫とっ捕まえてボリボリ食ってます、もうバリバリの行動派ですわ、わっはっは」と、ヨツボシヒラタシデムシが言ったような気がした。

へえ、そうなんですか、じゃあいつも僕がやってるように、ちょっくら素手で捕まえさしてもらって、ばっちりドアップのポートレート撮らしてもらいますわ。

「ちょっとちょっと、なにすんねん」と言わんばかりにヨツボシヒラタシデムシは僕の手の中でもがいていたが、僕はそんなことには構わず得意の手づかみポートレートをバシャバシャと撮り続けた。

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そうこうしているうちに、通行人がわらわらと集まってきた。なにしてんですか? なんか珍しい虫ですか? いやあ、別に珍しくはないんですけどね、こいつはヨツボシヒラタシデムシといって、ほらほら、背中に四つの紋模様があるでしょう、などと説明していたら、同行していた昆虫博士がおもむろに口を開き、

「これって、すごくイヤな臭いがするんですよね」と付け加えた。

へ? イヤな臭い? ヒラタやオオヒラタは死体を食べるスカベンジャーだから臭いのかもしれないけれど、こいつは毛虫とかを捕まえて食べるハンターだから臭わないんじゃあねえの? しかし、百戦錬磨の昆虫博士が言うことに、間違いがあるだろうか?

僕は急に不安になって、おそるおそるヨツボシヒラタシデムシを鼻に近づけてみた。
そうしてゆっくりと鼻から息を吸ってみる……ううっ、く、臭い!
それはカメムシのような鼻をつんざく強烈な悪臭ではない。むしろ吸い始めは普通の空気を吸っているのと同じ無臭である。ところが吸気が終末に近づくに連れ、まるで歯槽膿漏のような、なんともいえないイヤな臭いとしか表現しようのない悪臭が、僕の鼻腔の奥から脳みそへと拡散していった。

くっさー! と僕は叫んでヨツボシヒラタシデムシを振り落とした。

そして手のひらをまたおそるおそる鼻に近づけて息を吸ってみたが、まったく同じ臭いが再び僕の鼻腔に広がった。あわててウェットティッシュでその臭いを擦り落とそうとしたが、その残り香によるヨツボシヒラタシデムシの復讐はそれからしばらくのあいだ続くこととなったのである。ほんとキモイ、シデムシ。シデムシ、大嫌い。