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俺の身に起きている発生学的問題

右上1番の前歯を損失してしまった。突然損失したわけではない。1年ほど前に、歯槽骨の破壊吸収が重度と診断され、抜け落ちるのは時間の問題と言われたのだ。そこで俺の主治医は意外な秘策を思いついた。
「矯正の技術で、左上1番を右上1番の位置に持って行きましょう。」
俺の上顎は普通の人よりも小さいらしく、歯が所狭しと並んでいた。特に左の前歯はスペースが無い故に左上2番と3番が重なっていたのである。したがって、右上1番の位置に左上1番を、左上1番の位置に左上2番を持ってくれば、なんとなく帳尻が合ってしまうのであった。
問題の右上1番はすぐには抜かず、これも矯正の力で1年近くかけて抜いた。そうすることでそこに歯槽骨が再生されるという。再生されたところに左上1番がやって来るという作戦である。
左上1番は、今、俺の上顎の正中に位置している。正中の骨癒合部は頑丈なので、ここを越えるには少しばかり時間がかかるだろう。この骨癒合部、思えば胎生期に左右から別々に発生成長してきた外胚葉が再び巡り合った名残である。すなわち、俺の右側の歯槽骨は、今、左からやってくる歯を受け入れようとしているわけだが、これは、右と左の外胚葉系の組織の融合という、俺という生物の歴史上では胎生期以来の一大イベントなのだ。そのようなわけで、感慨に耽っているしだいであるが、俺のあやふやな解剖学的発生学的知識に基づいた話なので、おかしな点があればid:shogoshi先生に教えていただきたいです。*1

*1:つーことで、やはり俺のこの話の持っていき方には無理があることが先生のおかげで分かりました。だいたい、考えたら今の永久歯は乳歯の後から生えてきたものであって、胎生期なんちゃらなんてどうしていえるのってうちのカミさんでもできるレベルで突っ込み可能な話でした。まー、本来の学術的な仕事でも、俺はよく我田引水的だという批判を受けるんですよ。そういう人間なんです。