支配されるものにとって、支配するもの、支配しようとするものへの反抗は正義に見える。
ハマスのイスラエルへの反抗は、イスラエルに支配されようとしているガザ地区の市民によって正義に見えた。
これに対して、イスラエルは軍事力と経済制裁を巧妙に併用する。
経済制裁は、一見すると軍事力の対極にあるように見えるが、その威力がまず弱いもの（低所得者や病人など）に及び苦しめるという点で、実は軍事力よりも残酷な側面を持っている。そしてやがてハマスは、支配者への反抗という大義名分だけでは市民の指示を得られなくなる。やがて市民は支配への反抗の鉾先を、イスラエルからハマスに代えるだろう。これがイスラエルのシナリオだ。
結局、支配されるものはその正義さえも、気づかぬうちに、より強大な力を持つ支配者によって支配されてしまうのだ。無意識のうちに。
